そば蔵 谷川は、まるで日本の昔話に登場しそうな風格ある日本家屋と、美しく手入れされた庭園を抱えるそば処です。門をくぐれば、ゆったりと流れる時の中に身を置いたかのような感覚になります。敷地内に漂う自然の香りと、落ち着いた木のぬくもりが、訪れる人の心をほぐしてくれるのです。

この店のそばは、一言でいえば「力強い」。中でも、福井県産の玄そばを使用している点が大きな特徴です。一年を通して品質を保つために、収穫後すぐに低温で貯蔵され、必要な分だけをその都度自家製粉しています。その製粉方法にもこだわりがあり、そば殻を7割ほど残したまま、丁寧に石臼で粗挽きするという手間のかかった作業を行っています。

この粗挽き製法が、そばに深い風味と複雑な色合いをもたらしているのです。粒感がしっかりと感じられる見た目は、野趣に富んだ風合いを生み出し、自然の恵みをそのまま食すような喜びを感じさせます。そばに触れた瞬間から、その力強さが伝わってくるのが印象的ですね。

さらに注目すべきは、そばの打ち方です。一般的には“つなぎ”と呼ばれる小麦粉などを使ってまとまりをよくしますが、そば蔵 谷川では一切のつなぎを使用せず、十割そばに仕上げています。冷たい水だけで丁寧に手打ちされるその工程は、まさに職人の技術と感覚が問われる領域。

打ちたてのそばは、艶やかな見た目と共に、しっかりとしたコシを持ち、ひと口すすれば口の中に豊かな香りと旨味が広がります。のど越しの良さも特筆すべき点で、まさに「そばを味わう」ことの意味を実感できる一品と言えるでしょう。

このような丁寧な仕事が施されたそばは、観光目的で立ち寄る人々はもちろんのこと、本物を求めて通う地元の常連客にも愛されています。庭園を眺めながら、自然とそばの風味を味わう贅沢なひととき。五感を使って味わうという言葉が、これほどしっくりくる場所も珍しいです。

福井の風土と職人の情熱が結びついた一杯。そば好きなら一度は味わっておきたい、特別なそばとの出会いがここにはあります。



　

今回はそば蔵 谷川を紹介しました。

旅行やお出かけにピッタリですし、 一生の思い出に残る名スポットですので是非訪れてみてください。

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