倭庵黒石

倭庵黒石（やまとあん くろいし）は、伊勢神宮から車で約10分とアクセスも良好な海鮮料理の名店。地元・三重県産の新鮮な魚介を中心に、和の技が光る料理が堪能できる。中でも名物として評判なのが、豪快に海老天を巻いた天巻で、アツアツのご飯との相性も抜群だ。

特筆すべき一品は「幻の脱皮伊勢海老のバター焼き」。この料理では、脱皮直後の柔らかい伊勢海老を丸ごと使用。殻ごとぶつ切りにした海老に片栗粉をまぶし、火加減にこだわって身の厚い部分から丁寧に順番を変えて揚げていく。

その結果、パリパリと香ばしい脚と殻、そしてフワリとほどける身の柔らかさという、ひと皿の中に異なる食感が共存。仕上げに、脱皮後に残った殻を粉末にしてバターと合わせることで、濃厚な香ばしさと海老の風味が一層引き立つ。

この独自の調理法と素材の旨味が見事に融合した逸品。まさに、ここでしか味わえない“幻”と呼ばれるにふさわしい贅沢な料理である。



　

かつおの天ぱく

伊勢市から車で約50分走ると、志摩市の大王崎に位置する「かつおの天ぱく」が現れます。ここは世界の料理人たちが注目する、知る人ぞ知る鰹節をメインとした食品店です。

この店の鰹節づくりは「手火山製法（てびやま）」という昔ながらの手間を惜しまない技法が特徴。カツオは漁獲された時期や海域により水分量が異なるため、その日の素材に合わせて燻し加減を微調整する必要があります。

いぶし作業は火力の強弱を利用し、1か月かけて上下を入れ替えながらじっくり行うもの。まさに職人の経験と勘がものをいう工程ですね。他店ではなかなか真似できない根気のいる作業です。

この方法で仕上がった「荒節」は、私たちがスーパーなどで見かける一般的な鰹節。一方、さらにカビを付けて熟成を重ねることで、料理人も愛用する風味豊かな「本枯節」へと進化します。

地道な手作業が生む深い味わい。それが「かつおの天ぱく」の真髄。



　

鮨裕 禅

三重県・英虞湾に浮かぶ間崎島には、島でただ一つの寿司処「鮨裕 禅（すしゆたか ぜん）」があります。都会の喧騒から離れたこの島で、本格的な江戸前寿司を味わえるという贅沢。まさに隠れ家のような存在です。

アクセスは海上タクシーや定期船を利用するしかなく、訪れるだけで小旅行気分が味わえる場所。ちなみに、近くの賢島は伊勢志摩サミットの舞台としても知られ、国際的な注目を集めた地でもありますね。

「鮨裕 禅」で特に人気を集めているのが、旬の魚介を最大限に引き出す「おまかせコース」。店主自らが足を運んで市場で仕入れる魚は、その日の朝に水揚げされたばかりのものばかり。

素材の声に耳を傾け、一貫一貫に丁寧な仕事を施すことで、口にした瞬間に感動を呼ぶ寿司へと昇華させています。

通いたくなる寿司屋というより、「また船を出してでも訪れたくなる寿司屋」。そんな存在なのです。



　

MOKU ISESHIMA

伊勢志摩の自然に抱かれるように佇む「MOKU ISESHIMA（モク伊勢志摩）」は、1日1組限定のホテルです。訪れるたびに自分だけの特別な時間を味わえるこの空間は、まさに大人の隠れ家と呼ぶにふさわしい宿泊先。

広さ約50㎡のリビングダイニングは開放感があり、2つのベッドルームを備え、最大で8名まで宿泊できます。家族旅行や仲間との集いにもぴったりな造りですね。

屋外には全長14メートルのプライベートプールが広がり、その先には大海原。さらに、ほうじ茶をかけて楽しむ茶室スタイルのサウナや、海を眺めながら入るジェットバスも備えられています。

五感を刺激する仕掛けが詰まった非日常空間。静寂と自然の調和を、全身で堪能する時間が流れます。

そして驚くのはアクセスの快適さ。東京からヘリコプターを利用すれば、片道わずか90分で現地に到着できるのです。しかも、ヘリは宿の目の前に着陸可能。

移動から滞在まで、まさにラグジュアリー尽くしの体験が待っています。